環境や人間にも影響する海洋プラスチック問題 解決に取り組むアパレルブランド「ECOALF」

2016年、ダボス会議という国際会議で「2050年、海洋中に存在するプラスチックの量が魚の量を上回る」という試算が発表されました。 これが事実だとしたら、とてもショッキングな出来事ですよね。
海洋プラスチックの問題は遠い場所で起こっているものではなく、実は私たちの日常にも影響する身近な問題なのです。

そもそも海洋プラスチック問題とは?

海洋プラスチックは大きくは様々な種類の海洋ごみの1種に該当します。なんと、海洋ゴミの65.8%がプラスチックなのです。
この海洋プラスチックは海の生態系にはもちろん、人間の健康にも影響を及ぼします。

海の生態系への影響

漂流するプラスチックゴミは多くの海洋生物を傷付けています。クラゲと間違ってビニール袋を誤飲してしまったり漁網に絡まってしまうウミガメ、プラスチックゴミに絡まってしまう海鳥などです。これらのプラスチックは一度流出すると、回収しない限り半永久的に完全に分解されることなく存在し続けます。

人間の健康への影響

最近よく耳にするようになったマイクロプラスチック。マイクロプラスチックとは直径5㎜以下の微細になったプラスチックのことを言います。紫外線や波の影響を受けて劣化と破砕を重ね、次第にマイクロプラスチックとなります。そしてそのマイクロプラスチックを魚類が食べ、最終的には我々人間の口にたどり着き体内に取り込まれます。
最新の研究結果によると、人は平均的に1週間に約5gのプラスチックを摂取しており、これはクレジットカード1枚分に相当する量だそうです。

海洋プラスチックを意識するようになった原体験

私は日の出前に近所の多摩川を散歩することがあります。川の下流から日が上り、キラキラとした日の出の光が川に反射してあたりを照らしていく姿は、とても心地良いものです。
しかし、そんな多摩川の河川沿いに似つかわしくない光景があります。
それは家庭から排出されたであろう家庭ゴミの漂流、またはその場でバーベキューでも行ったのか空き缶やコンビニのビニール袋やプラスチックゴミです。

ECOALFとは

そんな経験がある中で二子玉川で買い物をしていると、とても目につくアパレルショップがありました。ディスプレイ用の透明な台があるのですが、その中身がペットボトルやビニール袋などのプラスチックゴミで埋め尽くされているのです。
その店は「ECOALF」というアパレルブランドで、リサイクル素材から服を製作しています。

「第2の地球はないのだから」

ECOALFはその考え方と行動が明快で一貫しています。
ファッションが、世界で2番目に環境を汚染している業界という背景から、自ら海のゴミを収集してウェアを作っています。つまり「地球環境を守るために服を売る」という、新しい発想のブランドなのです。

具体的な取り組み

ここではECOALFの特徴でもある「事業と直結している社会課題解決活動」をご紹介します。

海底から回収したペットボトルをリサイクル
これまでにスペイン国内の30以上の漁港、2500人以上の漁業関係者から協力を受け、計450隻を超えるトロール漁船で500トン以上のゴミ回収の実績があります。リサイクル素材を使用するアパレルブランドはよくありますが、自ら回収作業を行なっているブランドは珍しいですよね。

和紙を着る
繊維に和紙とリサイクル由来のポリエステルを使用したニットTシャツの商品です。和紙の主な原料は楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ)で、昨今では環境への負荷が低い優しい植物由来の繊維として注目されています。古くから日本人にとって、生活の中で使われているエシカル素材なのです。社会課題解決だけではなく伝統技術を継承し、地域や産地を活性化させようという考えは素敵だなと感じました。
ちなみにこちらの商品は着心地も良く、デザインもカッコ良かったので実際に購入しました。

サステナブルライフを提案する「BECAUSEボトル ~LOST COLORS 失われてゆく色~」
こちらは企画が面白い商品展開です。ECAUSEボトルはよくあるマイボトル商品なのですが、「ロスト・カラーズ」は海の中にある個性的で美しい色を表現しています。そしてその色は、気温の上昇・海洋汚染・廃棄ゴミが原因で、将来失われる可能性も秘めています。日々の生活の中で、できることからアクションをし、これらの美しい色を守ってゆきたいという想いをプロダククトに落とし込んだものになります。

多摩川の清掃活動

不定期で店舗の近所でもある多摩川で清掃活動を行なっているようです。
大きな社会課題はまずは身近なところで自分ごとに意識できるかが重要なので、こういった近場の現状を知る、行動することはとても大切なことだと思います。 私にとっても多摩川は関わりが深いので、機会があればぜひ参加して貢献したいです。

まとめ

昨今「持続可能な社会」や「SDGs」という言葉が目につくようになってきました。多くの企業がサスティナブルを語り、その貢献の大きさを主張しています。しかし、ECOALFのように本業として「社会課題を解決するために事業を行う」という企業はまだまだ少数です。
猛烈なスピードで深刻化している社会課題を解決するには企業だけではなく、個人レベルで真摯に向き合うことが必要になってくるでしょう。私が多摩川で気づいたように、きっかけは意外と身近に転がっていると思います。その気づきを頭の片隅に留めて、自分ごととして繋げていくことが大切なのではないでしょうか。
そして、行動の判断軸に『それは未来のためになるか?』の問いを根付かせ、育てていきたいと考えています。


参考

https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html
https://www.wwf.or.jp/file/20190612_oceana01_1.pdf
https://ecoalf.jp/news/detail/41
https://ecoalf.jp/contents/aboutecoalf
https://ecoalf.jp/contents/recycledmaterials
https://ecoalf.jp/news/detail/156
https://ecoalf.jp/news/detail/154
https://www.instagram.com/p/CPeGNTnnCv3/

この記事を書いた人

須田 貴士

須田 貴士

2020年にメンバーズに中途入社。グラフィックデザイン、Webデザイン、空間デザインなど総合的なコミュキーションデザインの領域で、アートディレクター/デザイナーを担当。日々のPC作業の反動からか、趣味は自然を感じながら行うスポーツであるフィッシング。

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