2023.3.7
企業のSNS運用初心者必見! 最初に押さえておきたい媒体特性
はじめに
生活者と直接コミュニケーションを取れ、伝えたいことを手軽に発信できるツールとして、企業も活用が必須になってきているSNS。
手軽に発信できるからこそ、誰に・何を届けるためのアカウントなのかを明確にしたうえでの運用が必要不可欠です。そこで、SNSアカウントを運用する大前提として押さえておきたい3つのポイントをまとめました。
以下は、私がメンバーズでSNS運用支援に約5年間携わってきた経験から、新卒や新しくSNS運用にチャレンジする人に最初に伝えたいと思う内容になっています。
なお、対象としているのは、BtoC商材を扱う企業のSNSアカウントです。
1. SNSを見ているのはどんな人か
生活者がSNSを閲覧するのは、仕事や学業の合間のオフタイムです。
また、多くのSNSユーザーは、友人や好きな発信者の投稿を見るためにSNSを開いており、企業アカウントからの発信を熱心に待つユーザーは少数派だと心得ておきましょう。あくまで、ユーザーのプライベートな場に「お邪魔している」意識が重要です。
2. SNSと雑誌や書籍の違い
書籍や雑誌などの有料コンテンツとSNSの最大の違いは、ユーザーのモチベーションです。
有料コンテンツは、お金を払って入手している以上、最後まで読もうという気持ちで目を通してもらえます。一方、無料のSNS上にあふれる1コンテンツである企業アカウントの投稿を、ユーザーが最後まで読む義理はありません。
だからこそ、ファーストビューで「気になる」と思ってもらい、読み始めで自分ごと化してもらう必要があります。
画像で引きを作る
SNSのタイムライン上で、最初に目につくのは画像(動画)です。画像で引きを作れなければ、テキストを読むまでもなく離脱されるくらい、SNS投稿において画像選定は重要です。
一般的に、SNSに向くのはユーザーが撮ったような自然な画像です。広告用に作成したサムネイルを流用するよりは、商品やサービスの利用シーンを想起させるような画像から試すのが良いでしょう。
結論ファーストで簡潔に
ファーストビューで「気になる」と思ってもらうために、タイトル(1文目)でどんな内容が書かれている投稿なのか分かるようにしましょう。
最後まで読んで初めて意味がつながる抽象的なタイトルは、SNSには向かないことがほとんどです。読者が最後まで読んでくれる保証がない以上、結論は最初に伝えておくべきです。
同時に、冗長な表現を避け、必要最小限の文字数で簡潔に伝えるテキストが求められます。例えば、次の2文は同じ内容を伝えていますが、文字数には差があります。同じ内容が伝わるのであれば、より短い表現を採用しましょう。
- 自分のための情報だと思わなければ、最後まで読むということをしない
- 自分のための情報だと思わなければ、最後まで読まない
自分ごと化してもらえる切り口を考える
SNSは、多くの投稿の中から見たいものだけを見るような使われ方が一般的です。そのため、ユーザーは自分が見るべき投稿かどうかを瞬時に判断しながらタイムラインを流し見しています。
「自分のための情報だ」と自分ごと化すれば読み進めてもらえますが、少し読んで結論が分からなければ、必要がない情報だと判断されスルーされるのがSNS投稿です。
その時期にその情報がユーザーにとって必要な理由を考え、ユーザーのインサイトを踏まえた切り口を探しましょう。
3. SNSと自社サイトの違い
同じ自社発信の情報でも、サイトを訪問してきたユーザーとSNSユーザーでは、求めている情報が異なります。
自社サイトに訪れてくれたユーザーは、その時点で自社に何らかの形で興味を持っており、知りたいことがあってサイトを訪問しています。一方、SNS投稿は、商品やサービスについて積極的に調べたいと思っていない状態のユーザーに届きます。
サイトに掲載している情報をベースにSNS投稿を作成する場面はよくありますが、完全に同じ文章の転用ではSNS上のユーザーには響きません。顕在ニーズに応えるサイトと、潜在ニーズを掘り起こすSNSでは、そもそも伝えるべき情報が異なることを理解しておきましょう。
企業がSNS上で発信する際に気をつけたいポイント
ここまで述べてきたとおり、企業がSNS上で発信する際に気をつけたいポイントは、以下の3点です。
- 多くのSNSユーザーは友人や好きな発信者の投稿を見るためにSNSを活用している。企業アカウントはそのプライベートな場に「お邪魔している」立場であることを忘れない。
- SNS投稿の主な対象は、企業の情報を積極的に求めていないユーザー。魅力的な画像と自分ごと化してもらえる切り口を用意し、結論ファーストで簡潔に訴求する。
- サイト情報をそのまま転用しない。顕在ニーズに応えるサイトと、潜在ニーズを掘り起こすSNSでは、そもそも伝えるべき情報が異なることを理解する。
この大前提を踏まえて、SNSマーケティングのゴールを考え、KPIを設定してPDCAを回すのが、企業のSNSアカウント運用です。
例えば、「商品認知が足りていない」という課題を解決する手段としてのSNS運用であれば、どれだけの人に情報が届いたかを測る指標であるリーチ数がKPIになるかもしれません。
一方、「認知は十分なものの、リピート客がつかない」という課題をSNSで解決するなら、ユーザーと積極的にコミュニケーションを取ることで心理的な距離を縮め、愛着心の醸成を狙う手があります。この場合のKPIは、投稿が届いた人のうちどれくらいが反応してくれたかを測るエンゲージメント率や、コミュニケーション量を測る言及数などが考えられます。
いずれにせよ、SNSの媒体特性を踏まえ、自社アカウントでは何をすべきかを明確にすることが重要です。そのうえで、日々の配信をデータで振り返り、より良い投稿ができるようPDCAを回せば、アカウントの価値は高まっていくはずです。
私も、そんなSNS運用のお手伝いができるよう、これからも精進したいと思います。
この記事を書いた人
川本 楓(かわもと ふう)
2018年メンバーズ入社。ユーザーに届くコンテンツづくりとSNS・オウンドメディア運用に従事。経験した案件は大手エネルギー企業のFacebookアカウント立ち上げおよび運用、大手小売企業のFacebook, Twitter, Instagram運用、ハウスメーカー/カード会社/食品メーカーのオウンドメディア運用など。