2022.12.6
再注目!社会解決型マーケティング、コーズ・リレーテッドマーケティングが選ばれる理由は??
コーズ・リレーテッドマーケティングとは?
コーズ・リレーテッドマーケティングとは特定の商品やサービスの売り上げの一部を、環境保護や社会貢献に結びつくように寄付する社会課題を解決するマーケティング手法の一つです。商品やサービスの売上の一部を寄付することを消費者に訴求することで、商品やサービスの販売促進にも役立てられますし、商品やサービスを利用する消費者にとっても、購入を通して社会貢献できるため、気持ち良く利用できることがメリットです。
コーズ・リレーテッドマーケティングの歴史
コーズ・リレーテッドマーケティングの概念が世界に広がったのは、1983年、アメリカン・エキスプレスによる「自由の女神修復プロジェクト」からであると言われています。
このプロジェクトでは、自由の女神像の修復基金として、カードの発行もしくは1回の利用ごとに、アメリカン・エキスプレスが1セントを寄付するというプロジェクトです。このプロジェクトは話題を集め、170万ドルの寄付につながりました。それだけではなく、プロジェクトの期間中、アメリカン・エキスプレスのカード利用が約30%増加したといいます。
このように、社会課題に貢献しながら企業利益も向上させるのが、コーズ・リレーテッドマーケティングの目的です。
なぜコーズ・リレーテッドマーケティングが効果的なのか?
一つ目に、消費者市場の変化です。新型コロナウイルスの影響やSDGsの報道頻度の高まりなどで、社会課題への関心は確実に各層に広がりを見せています。それを踏まえ、企業は社会課題解決とビジネス成果を両立することが重要であると言えます。
また、社会課題への関心やエシカル商品への購入意向があるにもかかわらず、商品購入に至っていない理由として、社会課題への関心やエシカル商品への購入意向があるにもかかわらず、商品購入に至っていない購買者が存在するという調査結果が出ています。(※1)企業によるマーケティングコミュニケーションの取り組みの余地がまだ残されていることが示されています。
二つ目に、NPO への信頼度は、政府やメディアよりも高いという調査結果があります。世界最大のPR会社エデルマンは20年前から、日本をはじめ世界約30カ国で、NPO/NGO、企業、政府、メディアに対する信頼度調査を実施してきました。2021年の調査結果によると、NPOへの信頼度スコアは40で、企業の46よりも低いが、政府の37、メディアの36よりも高いことが分かりました。(※2)
つまり、NPOと共創することで、その取り組み事態の透明性や信憑性が増します。
さらに、企業は社会課題を解決するプロではありません。その道のプロと手を組むことで現状をよく知り、解決の仕組みを学ぶことができます。反対に、企業はテクノロジーや社員など、自社のリソースを生かしながら、コレクティブインパクト(集合的な成果)で課題解決に貢献できます。
また、センシティブな題材を取り上げることも多いので、リスク回避のために有識者をプロジェクトメンバーに入れることをお勧めします。
コーズ・リレーテッドマーケティングは企業価値向上に貢献する
コーズ・リレーテッドマーケティングは、寄付付き商品の販売以前に、社会的大義があることが前提となります。自社のミッション・ビジョン・バリューを強く意識したマーケティングにすることが大事です。これはコーズ・リレーテッドマーケティングの枠組みにとどまらず、CSVやSDGsの目標達成にもつながる価値創出及び、企業価値向上に貢献するマーケティングです。
このように、コーズ・リレーテッドマーケティングは、企業、消費者、社会に良い効果をもたらすマーケティング手法なのです。
引用文献
※1:脱炭素時代におけるサステナビリティ情報訴求の有効性~CSVサーベイ 2021年秋
https://blog.members.co.jp/article/48650
※2:2021 エデルマン・トラストバロメーター
https://www.slideshare.net/EdelmanJapan/2021-246556173
この記事を書いた人
倉地 栄子(くらち えいこ)
株式会社メンバーズ SDGsプランナー / Futures Designer / エシカルコンシェルジュ
カナダ政府局(NPO)で難民・移民保護支援活動を経て、メンバーズに入社。入社以来、Web運用、構築、設計、改善など幅広く従事。現在はエンゲージメント・ファーストグループにてCSV推進プロジェクトを推進、関心テーマは気候変動・森林と農業・地方創生。