2022.9.29
知ればやりたくなる!「脱」食品ロスアクション
メンバーズでは、ソーシャルクリエイター(※)による持続可能な社会の実現のため、社員による社会課題に関するインプットとアウトプット活動を行っています。
「お腹すいた」
これは誰もが抱いたことのある欲求でしょう。しかし「食」には常に「食品ロス」「食糧不足」「食料自給率」「耕作放棄地」「ジェンダーバイアス」……色んな問題がつきまといます。これは「人間が食に関心があるから、食を取り巻いて浮上する」とも言い換えられるでしょう。どうでもいいことならば、これまでも、これからも、問題にすら思われないはずですから。しかし現時点で問題は山積したままです。
そこで今回は「食品ロス」について、デジタルやクリエイティブの力で解決に向け実践している事例をご紹介します。
※ソーシャルクリエイター
デザイン思考を持ち、ビジネスの推進や制度設計、アウトプットを通じて社会課題の解決を図ろうとするクリエイター(職人)志向性の高い人材のこと。
「食品ロス」の問題
令和2年度の日本では522万トンの食品ロスが発生しています(※1)。これは食糧そのものだけの問題ではありません。捨てられてしまった食品を生産するためには日本の約37倍の土地、琵琶湖の水の約9倍の量の水が使われています(※2)。
ポジティブに捉えれば食品ロスを減らすことで、土地も水も、そのムダを減らすことができるといえます。
そもそも食品ロスとは、可食部分(食べられるはずの食品)が捨てられていることを指し、主に以下の場面で起こっています(※1)。
①事業系食品ロス
- 規格外品
- 返品
- 売れ残り
- 食べ残し
②家庭系食品ロス
- 食べ残し
- 過剰除去(野菜の皮を厚くむき過ぎるなど、食べられる部分まで捨てる)
- 直接廃棄(保管しておいた食品の消費期限切れや賞味期限切れなどで捨てる)
今回は「直接廃棄」や「売れ残り」に焦点を当てて、明日から実践できることを紹介していきます。これらのことは、口に合わずに捨てることとは違い、おいしく食べられるはずだったものが売れない、保管していたことにより食べられなくなってしまったことのため、食べたいひとが食べられる分だけ手に入れることで食品ロスを減らせるのです。しかし現状では安売りで買いすぎてしまったり、認知度がないために買われず廃棄が起こっています。以下のサービスではそのような問題をデジタルの力で解決しています。
課題解決のための事例
今回は、手軽に行える、食品ロスを解決する事例を3つご紹介します。
「TABETE」(※3)
「TABETE」は買う人が安くてうれしい、お店はロスがなくてうれしい【フードシェアリングサービス】です。
つくりすぎた食品・予約キャンセルの食事・食材の端材でつくったオリジナル商品・まかない・試作品など、様々出品されています。購入者に登録料や月額料金は一切かかりません。「直接廃棄」は買いすぎによっても起こりますが「TABETE」はその時々にお得な商品を買いながら「食品ロス」の削減に貢献できるエコなサービスです。出店側の負担も少なく、中小企業も食品ロスの削減に取り組めます。すでに賞味・消費期限が迫った食品を買えば、保管して廃棄になってしまうことが防げます。
「ロスゼロ」(※4)
「ロスゼロ」は、規格外品・過剰在庫のインターネットでの販売を主に行っています。インターネットを介することで多くの地域の方が食品ロスに貢献できます! 他にも、未利用食材で作るアップサイクル食品の開発・日本初となる食品ロスのサブスクリプション「ロスゼロ不定期便」の運営・SDGsや環境問題に関する情報発信や啓発活動・研修の推進も進めているとのことです。
社内外のSDGs意識を高めるひと口サイズのチョコレート「シェアりゆう」は社内の福利厚生として注目を集めています。
サブスクリプションの食品宅品や社内のお茶請けでサステナブルなものを利用している方はいないかもしれません。「ロスゼロ」を利用することで生活の様々な場面で食品ロスを削減することができます。
「らでぃっしゅぼーや」の「ふぞろい Radish」(※5)
ネットスーパー「らでぃっしゅぼーや」の「ふぞろい Radish」では食品が「ふぞろい=規格外」になる理由を消費者に伝えながら販売するサービスです。人と食品とのつながりを大切にする「らでぃっしゅぼーや」は6つの考え方からなる「RADIX基準」を設け、食品の流通を行っています。その中の2つをご紹介します。
1つ、「生産者・メーカーとパートナーシップを結ぶこと」
らでぃっしゅぼーやのスタッフは現地を訪問し、生産者と直接面会をしています。それは基準が守られているかの確認、またパートナーシップを結ぶという面で、重要なアクションです。食品ロスというと食べ物だけに目を向けがちですが、作る人や売る人の関係性が「食」と私たちの良好な関係には欠かせません。
1つ、「よりよいものを求め、常に代案を提示すること」
「らでぃっしゅぼーや」は2001年から家庭の生ゴミを有機肥料として畑に循環させ「エコキッチン倶楽部」の取り組みを続けています。生ゴミを乾燥させて畑に戻せば、CO2排出量の削減になります。
人や地球にとっていい方法を模索し、継続されている点からこの方針を取り上げました!
ネットスーパーは様々あります。しかし食べたいだけ食べる、売りたいだけ売るという消費者や販売者主体の考えではなく、生産者や生産現場を含む食にかかわる人や環境を大切にし、よりよくしていこうという思いが、食品ロスを改善していくうえで必要です。どんな考えを持った人が販売しているのかまで鑑みて、食を通じ応援していってみませんか。
個人でもできること
今回の調査で手軽に始められるものが多いことに気付きました。私も「TABETE」をインストールしてみましたが、まだ首都圏に利用可能店は集中しているようです。ぜひ無理なく続けられるソーシャルグッドな取り組みを、参加することで発展させていきましょう(地方に住む人のためにも)!
みなさんひとりひとりが、デジタルやクリエイティブの力で社会課題を解決するために参考になれば幸いです。普通のごはん、いつもの通販をおトクに・地球にやさしくしてみませんか?
参考、参照
(※1)「食品ロス削減関係参考資料(消費者庁・2022年6月14日版)」https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/assets/efforts_220614_0001.pdf
(※2)「動画「めざせ、食ロストレーナー!」」『消費者庁』https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/movie_002/
(※3)「TABETE」https://tabete.me/
(※4)「ロスゼロ」https://www.losszero.jp/
(※5)「ふぞろい Radish」https://www.radishbo-ya.co.jp/brand/fuzoroi/
すべて最終閲覧日2022年9月8日
この記事を書いた人
イッパイアッテナ
高校演劇の経験により考えを伝える難しさを知り、大学で日本文学科へ進む。ゼミでは常に「今発した言葉の意味」を考えさせられる環境に身を置く。フェミニズム批評、男性学に興味があり、常にフィクションが現実に与える影響について考えている生きづらい人。