2022.3.14
食品ロスが及ぼす環境問題と解決に向けた事例3選
メンバーズでは、ソーシャルクリエイター(※)による持続可能な社会の実現のため、社員による社会課題に関するインプットとアウトプット活動を行っています。
今回は「食品ロスが及ぼす環境問題」について、デジタルやクリエイティブの力で解決に向け実践している事例をご紹介します。
※ ソーシャルクリエイター
デザイン思考を持ち、ビジネスの推進や制度設計、アウトプットを通じて社会課題の解決を図ろうとするクリエイター(職人)志向性の高い人材のこと。
食品ロスが抱える環境問題
食料不足による飢餓や栄養不足へと繋がる
FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書では、世界の食料廃棄量は年間で約13億トンとされ、これは世界の食料生産量の3分の1に相当します。また、日本においても年に約600万トン(平成30年度推計)もの食品ロスが発生し、これは東京ドーム5杯分とほぼ同じ量です。
このような現状がある中で、食料輸入は先進国に集中しており、一方の開発途上国や貧困に苦しむ人々などの間では9人に1人が栄養不足に陥っているとされています。
日本では食料廃棄物を可燃ごみとして焼却処分しますが、その過程での運搬や焼却、焼却後の灰の埋め立て処理により二酸化炭素が排出されます。また、世界の食料廃棄物の多くは直接埋め立て処分され、その際に発生するメタンガスは二酸化炭素の約25倍の温室効果を及ぼすとされています。
課題解決のための事例
納品期限超過の食品廃棄を防止するネスレの『食品ロス削減ボックス』
ネスレ日本が食品業界で初の取り組みとなる「食品ロス削減ボックス」の展開を全国5か所で開始しました。このボックスでは納品期限超過となった「キットカット」などのネスレ商品を購入できます。通常だと「納品期限超過」食品は「賞味期限超過」と異なり、店頭販売されずに処分されてしまうため、今回の取り組みによって事業系の食品ロス削減につながります。
https://nestle.jp/fun-picks/topic/creation/30590.php
お店とユーザーの双方が食品ロスへ貢献できるフードシェアリングサービス『TABETE』
『TABETE』では、お店側が賞味期限/予約のキャンセル/閉店時間等の理由により食品ロスになり得る料理をアプリに掲載し、ユーザーは気になる料理を購入できるというフードシェアリングサービスです。お店とユーザーの双方で月額料金無料のため、少ない負担で気軽に食品ロスへ貢献できます。
https://tabete.me/shop
今持っている食材だけで料理が作れるスマートフォン向けレシピアプリ『pecco』
『pecco』は家庭内にある食材や調味料をアプリ上に登録することで、登録された食材だけで作れるレシピを提案してくれるサービスです。アプリにはAIによる学習機能が搭載されており、アプリを使えば使うほどユーザーの好みに応じたレシピが提案されます。また、登録された食材の賞味期限が近づくと、AIはその食材を使ったレシピを提案してくれます。アプリを利用することで家庭内の食品ロス削減に繋がるだけでなく、レシピの提案は家事の効率化にも貢献します。
https://pecco.app/
個人でもできること
・食材を購入する際は、家庭内ある食材を事前に把握しておくことで、まだ残っている食材を買ってしまうといった無駄な買い物を防ぐ。
・調理時には食べられる適量な分だけ作ることを意識し、作った料理が余った際はそれぞれに合った適切な保存方法で長持ちさせる。
まとめ
いかがでしたか?
食品ロスは食料不足だけでなく、環境負荷という面でも多様な問題を抱えています。しかし、食品業界に属する多くの企業はそのような現状を踏まえて、最新のデジタル技術を活用したサステイナブルな取組みを行っています。このような様々なサステイナブルな取組みを続けていくことが、持続可能な循環型社会の実現に繋がるのではないでしょうか。
また、消費者としても食品ロスが及ぼす環境問題を知り、家庭内での無駄な食品廃棄を無くしていくことが重要です。
デジタルやクリエイティブの力で社会課題を解決するために参考になれば幸いです。
参考、参照
農林水産省 『食品ロスの現状を知る』、『食品廃棄物等の利用状況等(平成30年度推計)
Nestle fun picks 『【みんなで考えるSDGs】 新発想「食品ロス削減ボックス」全国5か所スタート』
フードシェアリングサービス TABETE
レシピアプリ pecco
この記事を書いた人
田中 勇輝
2021年にメンバーズに新卒入社。現在はディレクター職として、Webサイト運用におけるディレクション業務を担当。ファッションが好きで、学生時代にはアルバイトとして実際にアパレル販売員を経験したこともある。