2022.3.1
色彩検定3級・UC級 併願受検と合格するまでの5週間の体験記
はじめに
こんにちは。今年から本格的にUXデザイン周りの業務に携わり始めた21卒の井上です。
2021年冬期に色彩検定3級とUC級を併願受検し、無事合格することができました。
受検勉強を始めた当時、情報収集しようとネット検索をしましたが、UC級は新設されてからまだそれほど年月が経っていないからか、3級に比べて合格した人の感想や体験記などの情報を十分に得ることができませんでした。
その経験から、本記事ではこれからUC級を受けようか悩んでいる人に向けて、私の受検までの一連の流れを書いていきたいと思います。
色彩検定UC級とは?
色彩検定とは、色についての理論的な知識をベースに、色の組み合わせ方などといった技法を問う検定です。1〜3級、UC級の4つの級があります。
UC級(色のユニバーサルデザイン級)は2018年に新設された級で、人が色をどのように知覚しているのかといった基本理論から、色覚特性や加齢によって色の見え方が異なるのはなぜなのか、色におけるユニバーサルデザインとはどのようなものなのかまで、幅広く問われます。
例えば、本記事のサムネイル画像を、赤色が見えづらい1型色覚の色覚特性を持った人が見ると、以下のように見えるとされています(シミュレーション)。一般色覚者にとっては目立つ色どうしでも、色覚特性のある方にとっては区別しづらい色があり、どう改善すれば区別しやすくなるかなどをテキストで学びます。
Chrome拡張機能「Spectrum」にて「Protanopia」でのシミュレーション
シミュレーション前の画像
Photo by Martin LONGIN on Unsplash
3級の試験範囲と重なるところも多くありますが、異なる点としてUC級では、パッケージデザインやファッションなどにおける、デザインの美しさのような「印象を生み出す色の役割」よりは、標識などにおける、人に分かりやすく認識させる「色の機能的な役割」に注目した検定だと言えます。
併願受検について
色彩検定は各級の試験時間がかぶらないようになっているため、いくつでも併願することができます。
3級の勉強目安時間は1か月と受検経験者のブログで見かけたので、時間に少しゆとりがあったこと、そして実際に手を動かしてデザインを制作する業務は行っていないものの、ユーザーエクスペリエンス(UX)の一端として、その配色が見やすいものなのかの判断ができるようになりたいと思ったことから、3級とUC級を併願受検しました。
試験に向けての勉強方法
私は受検申し込みをしてから色彩の勉強を始め、5週間試験勉強にあてる時間がありました。
過去の経験上あまり細かいスケジュールを立てるとうまくいかなかったので、1週間ごとに目標を定めました。
1週目:テキスト全ページに目を通す
3級:参考書は公式のテキストがありますが、問題演習をするには過去問を別途購入する必要があるため、3級は問題集付きのテキストを書店で購入しました。
UC級:3級と内容がかぶっていたり、同じ内容が繰り返し記載されていることも多いため、私の場合は公式テキストのみ購入しました。
問題演習をしたい方は過去問を購入しましょう。3級に比べてインプット量は各段に少ないです。
※色彩検定公式サイトで過去問を購入することもできます。
1週目の勉強のポイントは「目を通すこと」です。
理解ができなくても飛ばして最後まで読み進めます。そうすることでなんとなく自分が苦手そうな分野や、学習の力の入れ具合をつかむことができます。
理解することよりも最後まで読むことを優先させればいいので、比較的楽に1週間は終えられると思います。
2~3週目:テキストの内容を自分なりにまとめながら理解を進める
1周目では読み飛ばしてしまったところも丁寧に理解しながらテキストをもう1周します。
1周目では分からなかったことも、2周目ではすんなり理解できるところもあると思います。
読んでいるだけだと読み流してしまうこともあるので、それを防ぐためにノートなどに大事そうなところをまとめていくことで理解を深めていきます。
結構時間がかかる作業なので、もう1週間ほど確保できると安心です。
4~5週目:時間を計って問題演習を行い、間違えたところのテキスト・ノートを見返す
テキストに問題集がついている場合はそれを、過去問を購入した場合はそれを、時間をキッチリ計って解いてみます。答え合わせをすると、自分が理解しきれていない分野がつかめるので、その範囲のテキストを重点的に読み返したり、ノートに追加で内容をまとめ直したりします。3級・UC級はマークシート方式なので、単語を丸暗記しなくても得点を獲得できますが、色名を答える問題は慣れが必要なので、繰り返し見直す必要があります。
テスト当日
私が受検した回では、3級が一番早い試験時間(10:30開始)でした。試験会場までの電車の中と試験開始前にテキストを見返しました。
3級の試験が終わってからUC級の試験開始(14:30開始)までの間に3時間の空き時間ができるため、私は2~3週目で十分に取り組み切れなかったテキストの熟読をその空き時間で実施しました。(時間にゆとりを持って学習を進めましょう)
まとめ
UC級受検を通して色の「機能的な役割」について勉強したことにより、UIについて検討する際にその色がどのような役割をしているのか、視認性はどうか、などといった視点を新たに得ることができたと感じています。
また、少し話が逸れますがGoogleが推奨するデザインのガイドライン、マテリアルデザインにも色についての項目があり、その中の「読みやすさ」の項目についてはUC級受検で培った知識があることで理解が深まり、読み進めやすくなりました。
以上、本記事ではUC級を中心に3級との併願受検までの流れを記載しました。
UC級は様々な資格試験の中でも比較的試験範囲が狭く、取り組みやすい検定ですので色彩の勉強の足掛かりとしてぜひ挑戦してみてください。
UC級を受検しようと思っている人、併願受検しようか悩んでいる人の参考となれば幸いです。
この記事を書いた人
井上 奈緒(いのうえ なお)
2021年4月入社。第1ビジネスユニットアカウントサービス第4ユニット所属のディレクター。 今年から本格的にUXデザイナーの道を歩み始め、日々奮闘中。