2021.12.27
iMovieとKeynoteを使った中学生向け「プレゼン力向上ワークショップ」とは?企画者に聞いてみた!
こんにちは、ソーシャルクリエイターデベロップメント室の松岡です。
先日、株式会社メンバーズと株式会社LX DESIGNさまが共同で、静岡県下田市立下田東中学校の生徒向けに動画作成と資料作成に関するワークショップを開催しました。こちらは「1Share + 1Actionプロジェクト」の一環として実施されましたが、どんなワークショップだったのか、植松理恵さん、磯谷美月さん、住田一さんにお話を伺いました。
登場人物
聞き手:聞き手:松岡藍(ソーシャルクリエイターデベロップメント室)
話し手:植松理恵(メンバーズキャリアカンパニー)、磯谷美月(EMCカンパニー)、住田一(EMCカンパニー)
1Share + 1Actionプロジェクトとはどのような取り組みでしょうか?
植松:1Share + 1Actionプロジェクト(以下、1S1A)とは、メンバーズ全社員が、社外へのナレッジシェア(Share)ないしはソーシャルクリエイター育成につながるアクション(Action)をしていくプロジェクトのことです。
ソーシャルクリエイターとは、デザイン思考を持ち、ビジネスの推進や制度設計、アウトプットを通じて社会課題の解決を図ろうとするクリエイター志向性の高い人材のことで、メンバーズで掲げているVISION2030(※1)実現の取り組みとして1S1Aを推進しています。
今回の取り組みは、LX DESIGNさまにコーディネートしていただき、下田東中学校でのワークショップが実現しました。LX DESIGNさまは、地域、家庭、学校などの環境に依らず、すべての子どもたちが自分らしく未来を描き、主体的かつ心豊かに人生を切り拓ける社会の実現を目指して、複数の教育事業を全国展開し、学校の教育現場と各業界のプロをつなげる事業を行っています。
下田東中学校では探求学習で商品開発・サービス開発のワークをしており、生徒がより訴求力のあるプレゼンテーションができるようになることを目的に、「動画制作」と「プレゼン資料作成」の2つのオンラインワークショップの依頼がありました。
探求学習とは、生徒自らが課題を設定し、情報を集めて分析し、その結果をまとめて発表する学習活動のことです。
講師となる社員はメンバーズグループ全体から募集し、動画作成コースには2名、資料作成コースには6名が参加し、企画から実施まで行いました。
※1 VISION2030
動画制作ワークショップの様子
動画とプレゼン資料作成のワークショップをオンラインで行ったそうですが、それぞれのどんな内容だったのでしょうか?
iMovieを使いこなすことを目標に、自分で撮影した映像を編集
磯谷:動画制作のワークショップ内容は、「iMovieを使いこなそう」を目標に、生徒一人ひとりに動画を制作してもらいながら映像編集の仕方や楽しさを学んでもらう、というものです。
実際に行ったワークショップでは、まず始めに講師の紹介と、制作課題の説明を行いました。
その後で、iMovieでの映像編集の仕方を説明します。今回は、生徒さんがワークに取り組む時間を多く確保したかったため、事前にチュートリアル動画を撮影し、当日は動画を流すのみにしました。
制作課題は、「下田東中学校の魅力を紹介する動画を作ろう」というテーマにしたので、映像編集の説明後、実際に学校の魅力が伝わる素材動画を一人ひとり自由に撮影しにいく時間を設けました。用意されている素材を使って映像編集するよりも、生徒さん自身が自主的に選んで撮影したものを使った方が、作品に対する姿勢も変わってくるからです。体育館から校庭まで、生徒さんによって撮影場所はバラバラで、魅力に感じている部分も多様性に溢れているということが見て取れました。
撮影後は教室に戻り、制作に取り組んでもらいました。
また、課題には次のような条件を設けました。
①30秒以内の動画にすること
②人は撮らないこと
③ターゲットを必ず決めること
これらの条件を守ったうえで、時間内に動画素材を撮影し、映像編集をしていくので難易度はそれなりに高かったと思います。
制作が終わったら、一人ずつ動画を公開し、ターゲットと工夫した点を発表してもらいました。
それに対して、メンバーズの講師から生徒さん一人ひとりに対し、制作した動画をさらにブラッシュアップできるようフィードバックしてワークショップは終了しました。
Keynoteを使って担任の先生に向けたプレゼン資料を作成
住田:プレゼン資料作成のワークショップではKeynoteを使用し、「担任の先生にどこでもドアを買ってもらうためのプレゼン資料」を生徒の皆さんに作成いただきました。
商品の魅力について迷うことなく企画資料を作成できると考え、「どこでもドア」という誰もがイメージしやすい商品(道具)を選びました。
生徒さんたちは資料作成もKeynoteの操作も初めてだったので、今回のワークショップのゴールは、「デザインのコツ・Keynoteの操作方法を理解すること!」と設定しました。
ワークショップ前半では、講師紹介のあと、「見やすいデザインにするためのコツ」、「ワークの説明」、「Keynoteの使い方」を生徒さんたちに説明しました。
「見やすいデザインにするためのコツ」では、制作イメージが湧きやすいように資料の見本を紹介し、色やレイアウトなどのデザインのコツを紹介しました。資料の見本はワークと同じテーマ(どこでもドア)で講師陣が制作したものを使いました。
後半では、生徒たちは1グループ3~4人に分かれて制作に取り組みました。40分間という短い時間の中で、どこでもドアの魅力を伝える文章やデザインを考え、Keynoteで資料を制作してもらいました。最後にZoomの画面共有で生徒たちが作品を発表し、講師からフィードバックを行いました。
プレゼン資料作成ワークショップの様子
企画をする時に工夫した点はありますか?
磯谷:作成する動画の「ターゲット」を生徒自身で決めてもらうことを必須とした点です。
中学生で、さらに初めての動画制作で、「ターゲット」を意識してもらうのは難易度が高いようにも思いましたが、動画制作に限らず、クリエイティブにおいて「誰かのために」つくることの重要性や楽しさを理解し、自分自身の作品のクオリティが上がることを体験してもらいたいという狙いがあり、あえてこちらからターゲットを決めずに取り組んでもらいました。
実際に生徒さん一人ひとりが、全く違ったターゲットを設定しており、またそのターゲットに合わせて動画編集に工夫を加えていたのでとても感動しました。
本番当日は教育委員会の方もいらしており、「生徒たちが元気に撮影に向かい、集中して編集に取り組む姿を見て感心した」とおっしゃっていました。
住田:プレゼン資料制作のワークショップは、「デザインのコツ・Keynoteの操作方法を理解すること!」がゴールだったので、デザインのコツ(基礎的な知識)と資料作成に役立つKeynoteの操作方法を詳細に伝えました。
生徒の皆さんは初めてKeynoteを使用するということだったので、ツールの教本のようなKeynoteの説明資料を用意しました。また、プレゼン資料の作成自体も初めてだったので、未経験の方でも完成させられるよう難易度を調整しました。ワークで使用するKeynoteもゼロから作るのではなく、プレゼン資料を簡単に作成できるようなテンプレートを準備しておきました。
他にも、どこでもドアの魅力を伝える文章やデザインを考えることに時間を割けるように、企画内容も工夫しました。 例えば、ワークのお題である「担任の先生にどこでもドアを買ってもらうためのプレゼン資料」については、「どこでもドアの魅力」をいくつか運営側で事前に用意しておき、生徒たちにはその中から選んでもらうことで、プレゼン内容の中心である、魅力を伝える文章を考えることに集中してもらいました。
あらかじめ用意した「どこでもドアの魅力」は以下です。
①教科書に載っている場所を生徒に実際に見せることができる
②移動中のコロナ感染リスクが低くなり、課外授業に行けるようになる
③残業になってもすぐに家に帰ることができる
です。余力があれば、①~③以外にも魅力を思いついたら追加してもらいました。
動画制作のワークに取り組む様子
ワークショップを振り返っていかがでしたか?
磯谷:自分が中学生の時は、映像編集をする授業なんて無かったので、どのようになるのか想像がつかなかったのですが、生徒さんたちはとても主体的に取り組んでいて、質問をしてきてくれたり、「これどうですか?」と編集途中のものを自主的に見せに来てくれたりと、講師としても嬉しく感じました。出来上がった作品はどれもとてもクオリティが高く、自分も負けていられないなと感じました(笑)。
「動画のターゲット」を自分たちで決めてもらうようにした点について、「下田東中学校を知らない人」や、「田舎で何もないところだと思っている人」、「これから入学する子どもたち」など幅広く設定していて、「その人たちにもっといいところだと伝えたい」という思いで映像編集に取り組んでくれたので、このワークショップで伝えたかったことが生徒さんたちに伝わったのではないかと思います。
個人的には、体育館のバスケットボールや図書室の本棚など、生徒さんたちが撮ってきた動画素材がどれも懐かしいものばかりで、言葉を選ばず言うならまさに「エモい」映像でした。そんな青春真っただ中の中学生と一緒に、映像編集を通してクリエイティブの魅力を学ぶことができて、私自身も本当に楽しかったです!ぜひまたこういった活動に取り組んでいきたいと思いました!
住田:生徒の皆さんが今回初めてプレゼン資料を作成するため、ツールが上手く使えなかったり魅力を伝える文章を思いつかなかったりすることも想定していましたが、運営側のサポートが無くても、グループ内で意見を出し合ったり、デザインの方向性を考えたりするところまで進めていました。積極的な質問や、ワークで紹介したKeynote以外の機能も使ってみたいという声も出ていました。
生徒が作成した資料は見出しや写真のレイアウトに工夫があり、初めて資料を作成したとは思えないほど作り込まれていました。
40分という短いワークの中で資料を作成し、プレゼンまで行えたことに正直驚きました。今後もワークで紹介したデザインのコツを活用して、資料制作に取り組んでいただけたら嬉しいです。
植松:ワーク当日は、生徒たちがわくわくしながら意欲的に取り組んでいる姿が印象的でした。これから探究授業が本格的に始まるということですが、生徒たちがどんなプレゼンテーションをするのか楽しみですね。
準備期間は、動画制作コースチームもプレゼン資料制作コースチームも各チームで協力し、限られた時間の中、工夫を凝らしながら企画を行っていました。1S1Aの活動を重ねるにつれ、より濃い内容のワークになっていると思います。毎回、期待以上のワークになるので、メンバーズグループ社員のポテンシャルに驚かされます。
松岡:植松さん、磯谷さん、住田さんありがとうございました! また、下田東中学校の皆さま、LX DESIGNの皆さま、今回はこのようなワークショップの機会をいただきありがとうございました!
この記事を書いた人
植松 理恵
2017年11月中途入社。メンバーズキャリアカンパニー所属。キャリアサポートグループグループ長。クリエイターの育成を担当しています。栄養士からWeb業界へ。お休みの日は写真を撮ったり、ゴルフをしたり。
磯谷 美月
2021年4月新卒入社。EMCカンパニー、第4ビジネスユニットアカウントサービス 第11ユニット所属。現在Webサイト構築案件のWebディレクターを担当しています。好きな食べ物はタイ料理と海鮮とお鍋。最近の趣味はガチャガチャです。
住田 一
2020年4月新卒入社。EMCカンパニー所属。現在はWebサイト運用案件のデザイン業務を担当しています。
休日は美味しい珈琲のある喫茶店に行ったり、フットサルの練習に参加しています。
松岡 藍