2021.5.25
ECサイトの文言はどう検討すべき?検討プロセス公開
はじめに
私はファッションECサイトの担当者として、日々たくさんのバナーやLPの文言を考えています。「お客様に興味を持ってもらうには?」「ファンになってもらうには?」と改善を繰り返し、売上アップに繋げたポイントをご紹介します。
同じようにサイト文言を考える立場の方にとって少しでも参考になれば、と思います。
そもそも、文言の役割は?
商品を購入する際に、店頭では直接触れたり、店員さんと会話したり…ができます。ECサイトではそれができないため、どんな素材?着心地?サイズ感?印象?など…「実際どうなの?」を店員さんの代わりに補う役割を担うのが「文言」だと思っています。
そのため、自分が接客するならどんな風におすすめするのか?と考えて文言を作成していました。その中でのポイントを3つ紹介します。
1.商品(サービス)の特徴は何なのか?
ファッションの場合は、商品のシルエットや色、生地、着心地、デザイン(かわいい系、カッコイイ系、カジュアル系…)など特徴をできる限り知り、書き出します。
さらに、使用画像で確認したり、実際の商品があれば直接確認したり、商品企画の担当者に特徴を聞いたりなど、とにかく特徴をつかみます。着心地など体験できない部分は特に言葉にすることが重要かと思います。
ファッション以外の場合も、このサービスはどんなことができるのか?何が他と比べて良いところなのか?など、自分で直接Webサイトを操作したり、担当者に聞くなどして特徴を知ることができると思います。
2.どんなシーンで使ってもらうのがおすすめか?
商品の特徴を踏まえて家でのリラックスタイムや、〇〇へお出かけする時、オフィス、デートにおすすめ…など、イメージに近いものはどれか(複数あれば、どれがメインでおすすめしたいイメージか)を考えて、書き出します。
商品画像の撮影時点で利用シーンをある程度想定している場合はそれに合わせて、文言を考えます。
ファッション以外の場合も、このサイトを見てる時はどんなシーンなのか?対象の人のイメージがあると思います。
シーンを想像することで、単に商品の性能や機能のおすすめではなく、商品を購入した先にある生活のワクワク・ときめき感(=付加価値)を自分ごとに感じてもらえるようにします。
もっと詳しく知りたい方は『買う理由は雰囲気が9割 最強のインフルエンサーマーケティング』という本が参考になると思います。
3.特徴と利用シーンをあわせてまとめる
どんなに素晴らしいポイントがたくさんあっても、長ーい文章で書かれると、全部読むのは面倒だなと、ほとんど見られないと思うので、短めの文言(「。」で切っていくイメージ)で伝えたいことをまとめます。
ポイントは、リズムとお客様にあう表現の仕方です!
まずは書き出した特徴や利用シーンの中から伝えたいポイントを絞ります。初めは長いままでも問題ありません。
絞り込むポイントは、
- パッと見た印象や、リズムよく頭に入ってきそうか?
- 深く読まなくても伝わるような負担のない印象にできるか?
を考えて最終的に決めていきます。
商品や対象の人のイメージにもより変わる部分もあるとは思いますが、私が担当していたファッションサイトでの場合は、
- バナーは文言2〜3個に絞る
- LPはタイトル→おすすめポイント2〜3個→最後の文言 でストーリーっぽい流れを作る
を基本にしていました。
そうしてでき上がった内容を、さらに整えていきます。
表現が対象の人のイメージにあうか(共感してもらえそうか)
例えば、脚が長く見える特徴をギャルに伝えたい場合、「脚がとても綺麗に見えます」という文言より「スタイル盛れる」という文言の方が、馴染みのある言葉で親近感があり、相手にすっと入っていきそう…など。
リアルなお買い物でも、一方的な店員にゴリ押しされると嫌ですが、自分のことを分かってくれている人におすすめされると良いかも〜と思える、そんなイメージです。
サイト全体として使いたい表現、使いたくない表現をある程度決めておくと表記揺れしにくくなり、世界観を統一できると思います。
リズムや重要度で順番を入れ替える、文字サイズの大小(強弱)調整
視認性や印象の点で、配置、文字サイズ、ひらがな、カタカナ、漢字、英語…などどれが適切かを考えていきます。
「漢字だと硬くなりすぎてしまうので、今回はひらがなにして柔らかい印象に…」「対象は〇〇な人だから漢字で…」などとお客様に合わせて印象を考慮します。
また、サイト上で同じような商品が多数並ぶような場合、どこに配置する予定のバナーなのか?も考えて、周辺に配置するバナーと文言が被らないかも注意します。
以上の点を踏まえて整えていきます。
絶対的な正解はないので、悩んだ時には候補を提案し、チームの他の目線からも意見をもらい決定していけば良いと思います。
改善の際には?
売上・クリック数など数値分析も重要ですが、レビューやSNSなどでお客様が直接コメントをしてくれる場合は、ダイレクトな意見が分かるので、〇〇は好評だから今後も使おう、△△は××に改善しようなどヒントを得て改善に繋げます。
色々な特徴やシーンの候補をたくさん出しておけると、上手くいかない場合でも次の改善をどんどんしやすくなりますし、文言だけでなくデザインイメージや画像そのものの改善(こんなイメージの画像のがお客様には良さが伝わるのでは?)など幅広い角度で提案ができると思います。
以上が私が、バナーやLPの文言を考える際に気をつけていたポイントです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
この記事を書いた人
小宮 伊央里
メンバーズユーエックスワンカンパニー Webディレクター。UX視点で使いやすいサイト作りの支援のため、ユーザー調査やUXライティングなどに興味を持って奮闘中です。